分数コード(2) G7/F – C/E

<はじめに>

こんにちは。
ヨシヲの心の友、テルヲです。

今回は、分数コード(2) G7/F – C/E について触れます。

今回も、全然、前回以上に、誰も使わないような分数コードです。

黒本の1、2巻をはじめ、アメリカから輸入されたスタンダード曲集でも、全く見たことがありません。

これは、完全に、クラシックの和声や、アレンジでしかでてきません。

坂本龍一のピアノソロでは使っています。

坂本龍一監修のピアノソロの楽譜が手元にありますが、その中の戦場のメリークリスマスのテーマには使われています。

作曲やアレンジにしか使えない、ということなんです。

ただ、転回形で、ベース音にコードのルート以外の音を使用できるということで、選んでみました。

今回のコードの特徴です。

  • 単体のコードではなく、二つのコードの進行を前提とする
  • 分数コードですが、単なる展開形です
  • コードのルートをベース音としません

まあ、そんな感じです。

ジャズミュージシャンには、まず使い出がありませんが、これも教養だと思って、お付き合いいただけると幸いです。

毎回の事ですが、あんまり深く考えず、一直線に思いつきのまま記述します。

この文章は、例によって独断と偏見に満ち溢れています。

 

<G7/F>

これはコードの第3転回形です。第7音、7thがベース音となります。

初めてみる方も多いかと思います。

譜例が必要ですね。

鍵盤楽器があったら、弾いてみてください。

どんな響きがしますか?

ベースより上の構成音はどう配置しても構わないのですが、ベース音に対してあんまり高すぎると、スカスカした響きになります。が、同時に、それが良いという人もいます。一般的にはスカスカ音は嫌われます。リスク承知であえてやるのもありです。

混乱させることを記載してますが、結局のところ、好みの問題だ、ということです。

ベース音が7thノートなので、かなり浮いた感じがしますよね。

基本形とはだいぶ異なる響きです。

これが好みかどうかはともかく、曲のアレンジの際にこれを適度に挟むと、変化があって効果的な時があります。

とても無責任で微妙な言い回しで申し訳ございません。

皆さん自身の感性と好みを信じて、自由に使ってみてください。

<C/E>

これはコードの第一転回形です。第3音3rdがベース音となります。

このくらいはみたことがある人は、結構いるかもしれませんね。

今回は簡略化して、メジャーコードの3和音としましたが、マイナーコードでも、M7th、m7th、M6、テンション付加でも何でもOKです。

譜例が必要ですね。

なんと、ベース音より上の3音で、C音が重複するという荒技を使っています。

時には5thのG音が重複する配置もありますよ。

これは、3rdの音が複数登場すると、和音の響きが重く感じされるからやっているのです。

そもそも3rdがベース音となるというのが荒技で、和音の響きが重くなるのですが、それに対応するため、上の声部の配置にも少し工夫が必要になるのです。

和音の3rdは、特製音とか、特徴音、と呼ばれることがあり、その和音が「メジャーかマイナーか」という超重要な性格づけをするために必要な音なんですが、ただ、これは一個あれば、十分なんです。

オーケストラのような、同時に20音以上鳴ることがあるようなアレンジなら、3rdが複数ないと他の音の音圧でかき消されてしまうことがありますが、ピアノやギターで弾くなら、一個あれば、十分なのです。

 

<2つのコードの進行>

お気づきだとは思いますが、分数表記をやめれば、普通のII-Ⅴ進行に過ぎません。

G7-C、です。

上記の上声分にベース音、F-E、が単2度の半音階進行が付随するわけです。

このベース音、F-E、の短2度進行が、今回のネタの中核をなしますよ!

ここは大事な話なので、もう一回言います。

このベース音、F-E、の短2度進行が、今回のネタの中核をなしますよ!

 

<導音と導音的な音>

話がちょっと飛びます。

導音というのはご存知でしょうか?

通は長調の第7音、キーがCだとすると、Bが導音ということになります。

導音は、単2度上行して、主音であるCに「解決」すると、気持ちいということに昔の偉い人が気付きました。そして、結構たくさんの人が、それを受け入れました。

ちょっと譜例です。

II7-Ⅴ7-I

Dm7-G7-C

合唱コンクールでお辞儀の際に、ピアノ奏者が弾くやつですね。

本来、これは絶対音感が無い人向けに、音程を明示するために、必要な作業でした。

ですので、曲のキーに合わせて、曲ごとに転調させる必要があったのです。

その意味がわかってなかった日本人が、よくわかってなかったので、何だか知らないですが、キーCでひたすら弾いて、音に合わせて合唱団がお辞儀する、ということになってしまいましたが、何なんでしょうか?

西洋音楽が輸入された明治時代に始まって、しばらく定着してしまった珍現象なんでしょうね。

話が脱線しました。

上記譜例だと、トップノートのBがCに進行しているのがお分かりでしょうか?

別に、トップノートはD-Cと進行してもいいし、そういう例も多いんですが、とにかく、長短2度で単音が進行すると、気持ちいいということなんですが、ご理解いただけますでしょうか?

しかも、長2度より、単2度のほうが、気持ちいいということなんですが、ご理解いただけますでしょうか?

というわけで、短2度進行が気持ちいいなら、別に上行じゃなくて、下降でもなんでもいいじゃん!

という話がでてくるわけです。と偉い人が昔考えて、それが今ではまあまあ、広まっています。

 

Cメジャースケール、譜例です。

短2度はどこにあるでしょうか?

2ヶ所ありますよね。

E-F、間と、C-D、間です。

ちょっと前に大事なことを2回言いました。

もう一回言います。

このベース音、F-E、の短2度進行が、今回のネタの中核をなしますよ!

思い出しましたか?

この進行においては、FはEに対して、導音では無いですが、導音的な役割を果たすかもしれないよ! ということです。

和声の世界では、ドミナント7th、メジャー7th、マイナー7thの構成音である、7thノートは、長短2度下がって、次のコードの構成音に進行しましょう、ということが、ほぼ強迫的なくらい推奨されています。

最も典型的なコード進行は4度上行進行なので、これを例に説明します。

ジャズの世界でよく使われるメジャーダイヤトニックコードの、IM7、IIm7、Ⅴ7、の3つを例にします。
便宜上キーをinCとします。

ですので、IM7をCM7、IIm7をDm7、Ⅴ7をG7とします。

譜例、CM7-FM7、Dm7-G7、G7-CM7、を見てください。
赤で示してある音符に注目してください。

CM7の7thであるB音が2度下降しFM7の3rdであるA音に進行することになりますよね。

DM7の7thであるC音が2度下降してG7の3rdであるB音に進行することになりますよね。

G7の7thであるF音が2度下降してCM7の3rdであるE音に進行することになりますよね。

言ってることがちんぷんかんぷんで、しかも、なんかだか騙されているような気分になるかもしれません。

この規則はめんどくさいとも言えますが、便利な面も多いのです。

前記のようなわけですので、F-E、のベース進行は、とても気持ちいい、ということになっています。

ただ、使い回し尽くされてしまっていて、人によっては「形式主義」「陳腐化」という風に考え出す人も多くなってます。

ただ「形式主義」に陥っているくらいですか、超定番で盲目的に安心して使うことがだけできる、という側面もあると思います。

このような、細かいルールを守っているだけで、かなり無難なことが達成できるのです。

< G7/F – C/E のコード進行を弾いて聴いてみよう!>

理論は理論なんで、最初と最後は、実践あるのみです。

譜例です。

鍵盤楽器があったら、弾いてみましょう!

基本形、G7 – CM7 と比べて、どんな印象を持ちますか?

ちょっと不安定な響きですよね。
G7/Fには浮遊感がありますが、C/Eには意外性がありますかね。それらを不安定、不快と評価する人もいるかもしれませんね。

その辺は感性と好みの問題なんです。

才能があるか、訓練を積んだ凡人なら、転回形と基本形の響きを自分で聴き分けられて、使い分けることもできるようになります。

どうお感じになられましたか?

<おしまい>

音楽理論の意味と音楽の啓蒙みたいな話です。

コードが4度進行する時、先に出てくるコードの7th音が2度下降すると、どういうわけか次のコードの特性音である3rdに進行してしまうというのは、何だかトリックでこじつけみたいな話です。

この辺の意味わかんない感が、音楽理論の根底に流れています。

何言ってるんだ、テルヲは本末転倒な馬鹿だ、って思われても仕方がないのですが。

この辺のわけわかんない感を、音楽的な奇跡、と思えるかどうかで、音楽理論に対する向き不向きがわかれてくるのだと思います。

私も、理論を学び始めたときは、かなり強い拒否反応がありました。

和声や対位法には、理論より音感を育てるための訓練、の側面が強いので、それをひたすらコツコツと学んでいた、しかも、かなり早い段階で、拒否反応が無くなりました。

音楽的な奇跡、を実感できるようになってました。

無くなったどころか、さっさと理論に溺れてしまったのですが。

作曲するより、和声や対位法が楽しくなってしまいました。

音楽的な才能が普通かそれより若干下くらいあり、ちゃんと訓練さえ積めば、音感がついて、音楽理論のいろんなことが自然に納得できるどころか、学ばなくても想像がつくようになるんですよ。

いろんな人と会いましたが、ほぼ全ての人がそうでしたよ。

ただ、その訓練をつむ機会がなかなか得られないのが、実情なのです。

専門家にレッスンを受けて、コツコツ訓練を積めば良いのです。

専門家のレッスンは必須です。

独学できる人は、その時点で才能がある人です。

そのため、多くの人が理論に拒否反応をもっていたり、理解できない、というような状態だったりするのです。

才能がある人は、いろんな事が才能の度合いによって、訓練しなくてもわかっちゃうんですよ。

理論書一冊すら読んで無くても、あっという間に、バッパーになれる人が確かにいました。

それも、天文学的な確率ではなく、そんなに珍しく無いのです。

ジャズやっている人の、100人に2人以上はいると思っています。

まったく音楽経験がない状態で、しかも独学で、好きに吹いているだけで、始めてから1年2年かからず、バッパーとしてプロでやっていける水準になる人が100人に2人以上はいました。

そうはいっても、私をはじめ、98人以下に相当する人はどうしたら良いのでしょうか?

カラオケボックスにグループで行ったとき、特に音楽経験がないはずなのに、歌が上手い人がいる、と感じたことはないですか?

そういう人は、ある程度才能があるということなんですよ。

そういう人のすべてが、いきなりバッパーになれるわけではなく、その中のでも才能の度合いが高い人は、いきなりバッパーになれる可能性が高いと思います。
歌の場合は、耳の良さ、声の良さ、の二つの要素がそろってないと、上手いという評価にはならないです。
たぶん、この文章を読んでくださる方は、ジャズのセッションに足を運ぶ人が多いと思います。

ボーカルの人は少なく、楽器を演奏する人が多いと思います。

ということは、多くの人は、耳の良さ、だけが必要になります。

楽器の場合、声と違って、生得的な要素が相当低いです。
楽器は練習すれば、ある程度は、上達します。

声の良し悪しは、これは生まれた時点でかなりの部分がきまっちゃってますからね。

というわけで、みなさん、耳を鍛えましょう!

音感を磨きましょう!

絶対音感は無理でも、相対音感は磨くほどに洗練されていきますよ。

音楽理論を学んで訓練すれば、耳は必ずよくなります。
よくなると信じましょう。

よくなると信じてください。

お願いですから良くなると思い込んでください。

鍛えればなんとかなります。

まあ、なんとかしなくても十分楽しめるのですけど。

どうせやるなら、なにかを目指した方が楽しいことが多いと思っているので、是非みなさんも、なんとかしてみてください。

一方的に期待しています!

なんとかしようとする、意識を持つだけで、個人のレベルではなく、音楽自体を豊かにすることそのものなんです。

究極的には音楽を超えて、世界を豊がにすることになります。

世界を豊かにしましょうね。

なんだかやばい新興○教とか自己啓○セミナーみたいなノリになってきましたが。

今回も最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

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